2011年3月7日月曜日

麻酔

今朝の札幌は素晴らしい”秋晴れ”です。



新聞に、がん用の張り薬が重い肩やひざの痛みなどの慢性痛の治療にも使えるようになった記事が記載されていました。

最近は、麻酔科の医師が神経ブロックなど行うペインクリニックがとても多く、需要も増えている様ですがすが、あまり詳しく調べた事も無く、お客様からのお問い合わせにモルヒネに関する情報提供があった事もあり、少し調べてみました。


がんの緩和ケアなどで広く使われ、よく聞く機会の多い「モルヒネ」は、1803年に開発され、ギリシャ神話の夢の神Mopheus(モーフィアス)にちなんでMorphinum(モルヒネ)と名付けられた様です。

ドイツの薬剤師が、麻薬のアヘンの有効成分を抽出して生成されましたが、効果が安定せず、当時は医療の現場ではなかなか使われなかったそうです。

その後、1852年に皮下注射が開発され、同じ年に全合成に成功し、医療の現場で広く使われ始めた様です。

一般的に使われている「塩酸モルヒネ」は、血中濃度の上昇が早く即効性があり、静脈注射後、数分間で効果が出始め、半減期も長い為、効果も持続しやすい。

副作用としては、依存性、耐性のほか、悪心、嘔吐、血圧低下、便秘、眠気、呼吸抑制などがあり、便秘はほぼ100%、悪心嘔吐は40%~50%みられています。

眠気はモルヒネ使用開始から1週間の間にみられ、その後は自然に改善するようです。

モルヒネは、肝臓で不活性化されて、腎臓から排泄されます。



がん用の張る薬の主成分は「フェンタニル」という成分。

1960年に開発され、即効型で強力な為、全身麻酔の補助薬として世界中で汎用されたようです。

日本では1972年に発売されています。

効果はモルヒネの80倍。

モルヒネに比べ、吐き気や眠気が少なく、便秘にもなりにくい。

高い脂質溶解性を持っているため、即効性も高いが効果も短い・・・

鎮痛効果は高いが、飲むと腸から吸収された直後に肝臓で全て分解されて鎮痛効果を失ってしまうので、内服しても薬としては作用しないようですが、張り薬としては、効果が出始めるまでは時間がかかりますが、効果は持続するので、がん用の鎮痛治療に広く使われています。


今年の1月に、がん以外の慢性痛にも使えるようになり、更に需要が増しているようです。

そのほかにも、今は合成で強力な麻酔薬が開発されています。

アルフェンタニル=モルヒネの1,080倍
ロフェンタニル=モルヒネの112倍
カフェンタニル=モルヒネの10,000倍

また、レミフェンタニルは全身麻酔に使用できる麻薬性鎮痛薬で、フェニンタニルと同等の鎮痛作用を持つが、効果が出始めるまでに1分位と短く、5~10分で消失するので、手術の状況に合わせた痛みのコントロールがしやすい特徴の麻酔もありました。


私が今年の1月にアキレス腱を断裂し、手術した際、手術室に入ってから「麻酔を効きやすくする麻酔」と言われたものを肩に打たれた数秒後に意識を失いました。
その麻酔の後、全身麻酔を打たれた様ですが、あの肩に打たれた麻酔が「レミフェンタニル」の様な麻酔だったのかな?と思いました。

手術の時には、状況に合わせて色々な麻酔を組み合わせて使われているんだな~と、調べていて気づきました。


がんの方、特に末期になると強い痛みで苦しまれる方が大半ですが、生活の質を向上するために麻酔技術の進歩は大いに役立っているのだと思います。


但し、がんなどの命に関わり、治療の方法が無い場合の緩和ケアはご本人、ご家族双方にとって必要だと思いますが、それ以外の痛みに関しては、お薬で対処するだけではなく、痛みが出る原因を改善しながら取り組む事が大切です。

「痛みは元から絶たなきゃダメ!」・・・ですね・・・

2010 年 11 月 18 日 12:06 PM

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