2011年3月7日月曜日

抗がん剤

今日の札幌は晴れです。

22日、23日とミニバレーの最も大きな大会の一つ、読売杯があり、私はチーム4人の年齢が155歳以上の混成部門で出場しました。

結果は、”準優勝”でした。

全員揃っての練習は1度しかできず、予選から苦戦の連続でしたが、尻上がりにチームがまとまり、決勝まで上がれました。
私のサークルの代表チームとの札幌同士の決勝でフルセットの試合でしたが、力及ばず準優勝でした・・・

でも、アキレス腱断裂からの復帰後、大きな大会でようやく結果が出たので、今年は良いかも・・・



1月の文芸春秋に、慶応義塾大学医学部の近藤誠医師とジャーナリストの立花隆さんの対談が掲載されていましたので、ご紹介致します。

近藤先生は、次のガンに対しては「抗ガン剤」が第一に選ばれるべき治療法と言われています。

・「急性白血病」、「悪性リンパ腫」などの「血液のガン」の大部分
・固形ガンの中の「子宮のじゅう毛ガン」と「睾丸のガン」
・「子供のガン」

しかし、これら以外のガンは、抗ガン剤ではまず治らないと言われています。

治らなくても寿命が延びればいいのでは?という考え方も当然ありますが、これに対しても「寿命は延びない」、もしくは「寿命が延びたという証拠は無い」と言われています。



従来の抗がん剤は、「殺細胞薬」と言われ、元々は第一次世界大戦で使用されたイペリットという毒ガスに由来するものでしたが、今は、「分子指標薬」という新しいタイプの薬に変わってきているようです。

分子標的薬は、ガン細胞に関わる特定の分子を狙いますが、標的となる分子は正常細胞にもいっぱい分布しているので、従来の殺細胞薬よりは軽いかもしれませんが、やはり毒性が出るそうです。

従来の抗ガン剤の場合、腎臓や心臓がやられたり、または神経障害や肺障害も多かったそうですが、最近の分子標的薬は皮膚や腸の障害が多く、特に粘膜部分の分子を標的にするものは副作用もすごいみたいです。

腸の粘膜は、人間の免疫力の一番大切なところ。しかも、毎日、次から次へ細胞が新しくならないと働けない。

そこをやられたら、当然大変な事になります。



では、そこまでしても抗ガン剤を使った方が良いのでしょうか?

今回の近藤先生の話の中に、抗ガン剤を認可する臨床試験の事が書いてありました。

臨床試験は、第Ⅰ相試験で毒性、第Ⅱ相試験でガンの縮小率の程度、第Ⅲ相試験で寿命の伸びを見ます。

従来は、認可されるには第Ⅲ相試験の結果が良い事が前提でした。
ガンが小さくなっても寿命が延びないという例が沢山あったので、「寿命が延びる事を示しなさい」というのが認可の原則です。
寿命が延びているかどうかを示す指標が「全生存率(OS)」。
一方で最近重要視されるようになった指標に「無増悪生存率(PFS)」があります。
これはガンが大きくなったり転移したりしないで生きているかどうかを見るものです。
PFSが50%ということは、半分の患者でガンが大きくなったか死亡した事を表します。

今回例にあげていたのが分子標的薬「ベクティビックス」で、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」が認められている適応症です。

今回の認可の報告書には、ベクティビックスの結果がグラフで示されています。

無増悪生存率(PFS)では、使った方が使わない方に比べて成績が良くなっていて、これが認可の決め手になっているようです。

ところが、全生存率(OS)では、使ってる方も使わない方も寿命は変わらない結果に・・・

議事録の中には、異論が出ると審議会の部会長が割って入って、禅問答を仕掛けてうやむやにしてしまう。残りの部委員会も大した文句も言わず、最後は全員、異議なしで終わるという構図になっているそうです。

更に、医薬品の副作用等の情報を記していある添付文書には、PFSのグラフは載せてありますが、OSのグラフは載せていません。都合が悪いからなのでしょう・・・・と。



実際にベクティビックスの添付文書を調べてみると、確かにその通りでした・・・



この対談の中では、それでも投薬を受けて、苦しみが軽減されて良い状態になるだけでも意味はあるのではないか、と言われ、PFSが良いものなら、つなぎの薬として十分役に立つともありました。


しかし、PFSの問題点として、ガンの再発も進行もしていないのに、寿命が延びないという矛盾をあげていました。

抗がん剤の延命効果は、あったとしても微々たるものといのが現状で、延命効果よりも縮命効果、つまり抗がん剤を使う事で命を縮めたというのが少なからずいると言われています。

検査でガンが見つかって、それを手術して、それで長生きしている人は沢山いますが、データを解析すると、検査で見つけないで、手術もしないでいて も、やっぱりそういう人達は長生きしただろうという推定ができるそうで、結果的に、発見と手術というのは寿命の上では影響をもたらさなかったということ が、データ的には妥当な考え方なんだそうです。



近藤先生のところでは、例えガンが発見されても、取るべき症状が無ければ、どういうガンであっても転移が無い限り無治療で症状が出るまで様子を見るというのを必ずオプションに入れていて、実際にそういう選択をする方も多いそうです。

胃ガンや肺ガンで、治療の選択肢が抗がん剤しかない場合に、「じゃあ、様子を見ます」という人が、近藤先生の患者では多数派だそうです。

抗がん剤を使っても使わなくても寿命が変わらず、むしろ縮める可能性があるのであれば自覚症状が出るまではウォッチングだけをしている。

最後に、ガンゲノム計画というのはすごいところまで研究が進んでいるそうですが、将来解明されるべき全体像からすると、まだほんの一部で、時間で考えると、あと何十年か、もしかしたら100年しないとガンの世界は征服できないのかもしれないと言われていました。



私も仕事の中で、抗ガン剤の使用について相談される事が多々あります。

抗ガン剤が効くか効かないかは、実際に使ってみないと分からない。

抗ガン剤を使う事で、確かに寿命を縮めているのではと思われる事例も少なくありません。

私の知り合いの医師から聞いた話ですが、世界では医者がストライキを起こした歴史があり、医者がストライキをしている数か月間でその国の死亡率が下 がったという記録があるそうで、その医師はその資料を見て、医者とは何なんだ・・・と悩み、医者の在り方を考えさせられたと言われていました。


更に、複数の医師から、末期ガンと診断された方で何の治療も受けていないのに、完治してしまう患者が500人に1人位いるとも言われていました。

近藤先生のコメントにもありましたが、万が一健康診断でガンが見つかって、何もしないで見ているだけというのは、精神的にもかなりキツイ事だと思います。




助かる助からないは、ご本人が生まれる時に決めてきた寿命によって決まっていると思いますが、病気等や家族との関わりを通じて様々な気付きを得て、自らの糧となる人生の大きなイベントのように感じています。



今回は、長く、難しい、意味不明の内容となってすいませんでした・・・

2011 年 1 月 26 日 3:00 PM

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